2016.09.19 平成と昭和のあいだ
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GRⅡ(モノクロHDR調エフェクト)

やっと涼しくなってきました、が台風が心配ですね。
そんなどんよりした今にも雨の降りそうな三連休の最終日、兵庫県立美術館で開催されている
【森山大道写真展「仮想都市~増殖する断片」】を見に行ってきた。
森山大道の膨大な作品群を「仮想都市」の構築という切り口で再編。神戸での撮り下ろし作品を
含む写真作品約120点、シルクスクリーン作品約30点、カルティエ現代美術館で展示した映像
作品などを紹介した展覧会(HP概要より抜粋)

1960年代から日本写真表現のトップランナーとして活躍されている写真家だから、「都市」のかっ
こよさやそんな写真に憧れを持つ写真好きの素人おじさんにとっては孤高の存在、・・・
「三沢の犬」と題された、不気味な目付きでこちらを振り返ってにらむ犬を撮った1枚の写真は、森
山大道のアイコンとして、誰でもが知っている・・・・といいながら実際の写真を展覧会で見るのは初めて。

一枚一枚の作品の圧が凄い。「わしがモリヤマや!」「これがわしや!」って感じ。
なんかこう、写真というカテゴリーで見てしまうにはもったいない気がした。写真による森山文学。
写真製版で製版されたシルクスクリーン作品が良かったな。微妙なトーンが削除されてしまっていて、
普段見慣れているモノクロ写真が単純な明暗表現に変換されているから、余計なものが目に入らず、
作家がその場で採取した場面をダイレクトに記憶に刻みこめる映像というか、そんな気持ちよさ。
だから、シルクスクリーンの作品群の対面に展示されていたカラーの作品が色がついているのに
かすんで見えた。それと、神戸での撮り下ろし作品群はたぶんデジタルエフェクトのモノクロHDR。
ちょっとやりすぎ?なんか素人っぽかったなー。(と思いつつ、見た後すぐにGRⅡでやってしまった)
最後はカルティエ現代美術館で展示した映像作品の再現。撮影した日を時系列で展開する縦画
4面の連続させたスライドショー。1968年に創刊され、たった3号で終わった写真同人誌『provoke』
(プロヴォーク)へのレクイエム?いや、中平卓馬へのレクイエム。中平卓馬のまなざしを森山がトレ
ースした感じ。この作品もシルクスクリーン作品に似て微妙なトーンをじっくり見れるわけでもないの
で、フラッシュバックな印象。それが良かった。

なぜ、「平成と昭和のあいだ」か?
この展覧会を見て、森山は平成になった今も、良い意味で、昭和のギトギトした時代を引きずってい
るような気がしたから。それは、レンズを向ける対象がそうなのか、それとも出力された映像処理が
そうさせるのか、そのどちらでもあるようにもおもわれるが、ある意味、昭和生まれのおじさんにとっ
ては、「男はつらいよ」や「水戸黄門」を見るときの安心感のような、定型化された森山文学を読む安
心感みたいな展示だった。ただ一つだけ、平成的作品があったとすれば、それは会場のど真ん中に
置かれていた体長30センチほどの小さな「三沢の犬」の布製フィギア。
これ、(http://daido-kobe.com/2016/08/27/に掲載されている写真観てください)。純粋な作品なの
か、それとも販売目的に作られたものなのか謎。その本気かおちゃらけかわからないあいまいさが、
今の時代的(平成的)でおもしろかった。


2016.08.31 敬意を表したい
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LEITZ minolta CL with COSINA Voigtlander NOKTON 40 mm F1.4 SC

友達の誘いを受けて、古くから銀塩写真に取り組んでいる方の家にお邪魔させてもらった。
その方は、写真の入口(カメラのこと)から出口(プリントのこと)までの造詣も深く、アマチュア写真のグル
ープに所属し、定期的に開催されるそのグループ展に出品したり、全国規模の○○会に出品している、
所謂こだわりを持った熱心なアマチュア写真家。二度ほどその方が所属するグループ展に出向き、単写
真を拝見したことがあったものの、その方の撮られた写真は、技術的には高度なテクニックでプリントされ
ていたものの、正直それほど魅力的だとは思わなかった。

その方の趣味部屋は、整然と整理された暗室と、額装の際に必要なマットを切る道具を置いた部屋があり、
長年銀塩写真に取り組んできた趣味人の部屋としては理想的な空間だった。そんな素敵な場所で、こちら
の知らないことを色々質問させていただいたり、マット切りも体験させていただいたりと、楽しいひと時を過
ごさせていただいた。しかし、そんな技術的なことより、最も感銘を受けたのが、その方が今までインドとア
メリカでの旅先で撮りため、自分で気に入ったシーンを全紙大にプリントされた未発表の多量の写真だった。
それらの写真は、額装して展示された写真よりはるかに素晴らしく、部屋いっぱいに並べられた作品を分類
して見ていると、個展ができるほど十分な質と量で、思わず「個展、開きましょうよ」と勝手なことを口走ってし
まった。そして、長年こだわりを持って取り組んでいるこの方の写真を観ていると、ヴィヴィアン・マイヤーの
作品を思い出した。そうなのだ、こだわりを持って続けていると、それは誰でもないその人の「作品」として評
価しえる価値が出てくるのだ。それは、決して一発勝負の印象的な魅力ではない、十分時間をかけて熟成さ
れた魅力。そんな「作品」といえるプリントされた写真を拝見しながら、同じアマチュアとして敬意を表したい、
とも思った。

2016.08.28 街のカタチ、村のカタチ
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LEITZ minolta CL with COSINA Voigtlander NOKTON 40 mm F1.4 SC
2016.08.26 スギモトがやってくる
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LEITZ minolta CL with COSINA Voigtlander NOKTON 40 mm F1.4 SC

東京都写真美術館のリニューアル・オープン/総合開館20周年記念として「杉本博司 ロスト・ヒューマン」を開催する。
どひゃー! キター!
2014年、パリで行われた個展、「今日、世界が死んだ(失われた人類の遺伝子の保管庫)」のリメイク版か?
遠いところまで行ってしまったズギモトが日本に帰ってきた・・・・って感じ。
美術館の公式サイトを見ると、あの!「仏の海」が新しい装いで見られるではないか!
「仏の海」とは1995年に発表した、京都の三十三間堂に安置されている千体の千手観音像を、近世や近代に付け
加えられた様々な装飾を取り除き、蛍光灯も消し、朝日を浴びて輝く千体を7年の月日をかけて撮影した超大作。
杉本博司の公式サイトをご覧いただきたい。モニターで見ても荘厳なその光景を感じられるでしょう。
何が凄いって800年前の都人が見た光景を、800年後の現代で、実際の現場で撮影して再現するっていうところが凄い!
これ、印刷物でしか見たことないから見たかったんだよなー。
新作は「廃墟劇場」。これは、1970年代から制作しているシリーズ「劇場」の、実際に廃墟と化した劇場を訪ね、作家
自らスクリーンを貼り直して映画を投影し、作品1本分の光量で露光した作品だそうだ。これも見たいなー。

東京かー、遠いなー。巡回して関西に来ないか調べてみたけれど、今のところその情報は見つからない。
しかし、行きたいなー・・・。
2016.08.25 フィルムを使うということ
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LEITZ minolta CL with COSINA Voigtlander NOKTON 40 mm F1.4 SC

いやー、まいったまいった・・・、フィルムの値段が急騰しているご時世。モノクロフィルムの現像代もまた
値上がりした。現像を頼んでいる店はモノクロ現像は外注らしい。もし、その外注先の方が現像の仕事を
辞めてしまうと、もう、ネットで現像先を探すか、自家現像を本気で考えないといけないのは時間の問題だ。
・・・・と嘆きながら、マキナの露出計を直してもらおうと修理に出すと、「オーバーホールをお勧めします」と。
眼が飛び出るほどの修理代に一瞬たじろいだが、「10年は使えますよ」の一声で覚悟を決め、オーバーホ
ールを依頼した。もう後戻りはできない、せっかく直したのに使わないと、本当の宝の持ち腐れになってしまう。
・・・・いやー、まいったまいった。
2016.08.16 戦争の話
最初の広島への原爆投下は、時のアメリカの大統領、トルーマンの指示のもと決定されたのではない。
この核爆弾に関わった上層部の人間の、思惑や自己保身や意思疎通の欠如の積み重ねで行われた
「想像力を欠いた愚行」。NHKの【決断なき原爆投下~米大統領 71年目の真実~】を観てそう理解した。
そのTVプログラムの概略は、原爆開発を秘密裏に計画していたルーズベルトが急死し、その詳細を
いっさい知らされていなかったトルーマンは、軍部からの原爆計画の詳細を文章で提出されても、塾考
も、判断もせず、原爆開発の指揮官・陸軍グローブズ将軍の強い押しだけで実行された・・・・というもの。

なんと恐ろしいことよ・・・・そんなことで、何十万人の一般人が虐殺されるとは。

トルーマンは原爆投下後、ラジオで「これで何万人というアメリカ兵の命を救えた」というようなことを
言ったそうな・・・詭弁である。自らが「大量虐殺を指示した政治家」というレッテルを張られないための。

内田 樹と姜尚中との対談集【世界「最終」戦争論 近代の終焉を超えて】 (集英社新書)を読んでいる。
テロと戦争の違いは何か?戦争は勝敗が決まれば条約が締結され、とりあえずの決着はつく。
テロは永遠に続く。例え「敵の巣窟と思われる場所」を総攻撃したとしても、最高指導者を亡き者にしようと。
だから、これからの時代は「常に戦争状態」であると言う。その大きな要因は、グローバリズムではないか?
グローバリストの「金のある者が偉い」という価値観が蔓延し、さらに「命より金が大事」という呆れた
風潮によって、世界のあちこちが破綻している現状がテロリストを生み、一般人が殺されることとなる未来。
日本の憲法9条はそんな殺伐としたグローバル時代を、「平穏」に生きられる世界でたった一つの条文。
今まで、この条文の庇護の下で平和ボケと言われた我々は、そんな「常に戦争状態」世界で対等に生き抜く
覚悟があるのか?アタクシには・・ない。積極的平和主義なんて・・・ない。この言葉も詭弁だ。

平和主義のアインシュタインは平和主義のフロイトに「ヒトはなぜ戦争をするのか?」を書簡で問うたそうな。
フロイトは返信で「人間から攻撃的な性格を取り除くことなどできそうもない」と答え、アインシュタインは愕然
としたそうな。たぶん、攻撃的でないヒトは種として絶滅するんだろうな。
その攻撃性はどこからくるのか、差別や格差が攻撃性の要因なら、それを知性によって抑え込めるのもヒト。
いや、そんな知性がヒトにはあるはずだ。慈愛?わからないけれどあるはずだ。

【戦争中の暮しの記録―保存版】を買った。そう、巷で話題の「トトねえちゃん」、暮らしの手帖が、高度
成長期の1967年に出した別冊の復刻版。アタクシも「トトねえちゃん」ファンなので、つい・・・。
あとがきに・・・・
この戦争のあいだ、ただ黙々と歯をくいしばって生きてきた人達が、何を苦しみ、なにを食べ、なにを着て、
どんなふうに暮してきたか、どんなふうに死んでいったか、その数少ない記録がここにある。
これが戦争なのだ。それを知ってもらいたくて、この一冊をのこしてゆく。君もまた後に生まれる者のため
に、この一冊をどんなにぼろぼろになっても残しておいてほしい。・・・・・
うん、なんだかんだ戦争して、テロにあって一番損するのはアタクシ達市井の人。だから、その経験を
リアルに残してくれている市井の人達の文章のほうが、政治家の詭弁よりずっと信用できる。

2016年の敗戦記念日によせて



2016.08.08 東京の空
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