2009.08.10 あなたは靉光を知っているか
東京国立美術館で行われているゴーギャン展を見に行ってきた。
ゴーギャンのあの名作
「 われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか 」が、
本邦初公開なんだから、見に行かないわけにはいかないでしょう。

でも、今日はゴーギャンの話じゃないです。
ついでに見られる常設展示の一つ、靉光の「眼のある風景」

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この絵、好きなんです。あんまり一般的には知られていない作品だとは思うんですが、
「私の知っている日本絵画ベスト10」」なんてランキングをつけるとたぶん上位にきます。
何と言っても印象に残るのが「眼」。
これほどリアルに眼球を描けている日本人の画家はいないんじゃないかなー。
実際にこの作品を見るのは3回目だけれど、いつもじっくり見入ってしまう。
こんなシュールな作品は、人体の一部が描かれていることが多いし、
その人体の一部がその作品の不気味感を演出し、作者の意図とは関係なく、
ほとんどの人が感じるところです。
この作品も一見すると不気味に感じるけれど、
私は、じっくりこの「眼」を見ていると、意思のある表情に吸い込まれ、
「不気味」という感覚より「何かを成そうとしている人間の真剣さ」みたいな強さを感じる、
見る者の勇気を奮い立たせる作品であるように思われるのです。

この作品の作者・靉光を紹介します。

aimituS0021009.jpg靉光(あいみつ)
(1907ー1946)広島県の生まれ。

画家志望がかなわず印刷所の図案工となるが、
1924年大阪に出、天彩画塾に通うが、翌年上京、
太平洋画会研究所に入った。
26年二科展に初入選。以後、昭和初期の
新興美術運動の波にのみこまれ、
豹変ぶりのはげしい作品を次々に発表した。
28年「1930年協会」賞を受賞するが、
自分自身を見いだせないことに苦しんだ。
その苦悩のなかで、東洋画を再発見し、
動物のモチーフに出会い、
一連のライオンの絵が描かれた。
38年独立美術協会展で協会賞を受賞した
《眼のある風景》において、
独自にシュルレアリスムの世界を切り開いた。
翌年、美術文化協会の結成に参加。
43年、松本竣介、麻生三郎らと自立的なグループ
新人画会を結成したが、
翌年応召、終戦直後の上海で戦病死した。

出典: 近代洋画の名作 : 東京国立近代美術館所蔵

残念ながら、戦争によって彼の才能は絶たれてしまいました。


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