2009.09.25 ジャコメッティのこと
モネから始まった20世紀絵画の究極は誰か?
アルベルト・ジャコメッティだと思います。

アルベルト・ジャコメッティ(Alberto Giacometti)を是非紹介したい。
ジャコメッティは一般的に針金のような人体彫刻が有名で、( ↓ こんなヤツ )

giacometti002.jpg
Place 1948-1949 Bronze.63×44×21cm

美術史的にはシュールリアリズムの作家として、( ↓ こんなヤツ )紹介されることが多いけれど

giacometti003.jpg
Point a l metal 1931 Bois et metal 58×29×13cm

しかし、私は晩年に描かれた肖像画を推したい。

・・・・・・・・・・たぶん、また話が長くなるから「続き」以降は、覚悟して下され

モネ以降、絵画の前線はどんどん抽象化していって、具象絵画は美術の表舞台を降り、
金銭的価値でしか評価されなくなっていってしまう。(偏った見方かもしれません)
ジャコメッティはそんなていたらくな具象絵画の中で、
モネの追求した「視覚の具現化」の後を受け継ぐ最後の巨匠ではないか、と思っています。
いや、ジャコメッティは「存在」を具現化しようと試みた画家かもしれない。
下の画像を拡大して見ていただきたい(カラーでないのが残念)
モチーフである男性にだけ執拗に筆を入れているのがわかるだろうか?
中心である男性にだけ盛り上がった凸凹がついているでしょう?
これは意図的に画家がつけたわけではない。
「結果」としてできてしまった絵の具の盛り上がりです。

giacometti001.jpg
Tete 1958 Huiie sur toile 61cm×50cm (モノクロ画像)

画家の言葉を借りると

「今日は前より、あなたの顔の構造がよく見えます。ええ、本当なんですよ。
内部の建築をとらえなければ、事物は描けません」
「一つの顔のなかにある力のすべてを肖像に取り込むことなどけっして私にはできないだろう。
その力を経験するだけで、途方もない意志、途方もないエネルギーが必要だ…」
                                  http://www.b-sou.com/palw-Giacometti.htmより転載
つまり、平たく言えば「その人物の存在を平面上で表そう」 という実現不可能なたくらみを企てたのです。
画家はこのたくらみを実行し、その悪戦苦闘の結果がキャンバスに残された凸凹の盛り上がりなのです。
モネは「見えたまま」を描こうと、ルーアン大聖堂の前に何枚もキャンバスを並べて描いた。
ジャコメッティは「あるがまま」を描こうと、一枚のキャンバスに絵の具をのせ、削り、またのせた。
二人とも自分の眼球を通して、「モノの有り様」を忠実に再現しようと試みた巨匠です。
この二人こそ ”The具象” この二人の描いた作品以外に具象絵画はありません。
ところで、ストリートフォトの巨匠ブレッソンが撮ったジャコメッティのポートレイトがあります。
展覧会の準備中のスナップですが、すごいです。
作家の作った作品をオーバーラップさせたポートレイト。
アイデアもさることながら、その場面をものにするというテクニック。
ブレッソンは撮る前に、もうすでに勝負を決めているのです。やっぱり彼も巨匠です。

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