2010.02.07 20世紀美術の中で最も重要な作品
2004年、世界の芸術をリードする500人の芸術家による
「20世紀でもっとも最もインパクトのあった現代芸術作品」アンケートにおいて、
ピカソの「アビニョンの娘達」を抑えて堂々の1位に選ばれたデュシャンの作品が、これです。

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レプリカがいくつかあるらしいけれど、オリジナルはスティーグリッツが撮ったこの写真

この便器はいったい何なのか?
日本名「泉」
普通の男子用小便器に「リチャード・マット (R. Mutt)」という署名をしただけのこの作品は
1917年、ニューヨーク・アンデパンダン展(規定の料金を支払えば誰でも出品できる無審査の展覧会)に
匿名で出品しましたが、主催者側が議論の末、展示を拒否され、いつのまにやら捨てられたそうです。
そりゃそうですよね、皆さん一生懸命考えて「制作した作品」のなかに、こんなおちょくった物品を置かれたら、
たまったモンじゃない。そりゃ、「なんじゃ?こりゃーー!」って感じです。
本人は、この展覧会の役員をやりながらの出品だったので、
役員の立場として「無審査の展覧会なのに展示を拒否するとはおかしいじゃないか!」とか言ったのでしょう、
抗議の意味も込めて役員をやめてしまい、今度は実名で
「マット氏が自分の手で『泉』を制作したかどうかは重要ではない。彼はそれを選んだのだ。
彼は日用品を選び、それを新しい主題と観点のもと、その有用性が消失するようにした。
そのオブジェについての新しい思考を創造したのだ」と雑誌の記事として発表します。

実はこの一連の流れはデュシャンにとっては織り込み済みだったんじゃないか?
というのがデュシャン通の間で囁かれています。
つまり、昨日記事にした「見る人が芸術をつくる」という考えを「便器」に託したのです。
だから便器はデュシャンの作品の「ほんの一部」、その後の周りの人々の反応も作品なのです。
これで、それまでの美術というモノの概念をぶちこわし、デュシャンは美術界から身を引きます。
身を引いて何してたかって?
毎日チェスに明け暮れていたそうです。(かっこいい!)

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・・・で、私も我が家の HONDA Hobio にマット氏のサインステッカーを5年前に貼ったのですが、
誰にもこの車というオブジェに対する非難も賞賛もなく、ただの車としての機能を発揮しております。

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