2011.08.08 アートツアー報告書 その③ 大原美術館にて
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FinePix X100  観賞後の一休みの定番。美術館となり、喫茶「エルグレコ」にて

今回のアートツアーの2番手は倉敷美観地区にある大原美術館。
直島が美術の今を提案している部分だとすれば、ここはその元祖。
若い頃から何度も来たことがあって、「ああ、これが本物の油絵か」と感心した事を思い出す。
初心者にも優しい泰西名画幕の内美術館は今も倉敷観光の中心だ。
この日も美術館には老若男女、団体さんから家族連れと、たくさんの人が見学に来ていた。
私はといえば、名画を見るより、この美術館の成り立ちを知りたくなってしまった。
そこで、館内にある説明書きや図書コーナーなどを、短い時間ではありますが読みあさって感じたのは・・・。
芸術に理解のある土地柄ってあるのかなー、ということ。

大原美術館を建てたのは、去年流行ったCM、ミラバケッソ「アルパカのクラレちゃん」の会社「クラレ」のご先祖さん。
明治時代、倉敷紡績(クラボウ)、倉敷絹織(現在のクラレ)、倉敷毛織、中国合同銀行(中国銀行の前身)、
中国水力電気会社(中国電力の前身)の社長として倉敷経済を支え、財閥を築き上げた大原孫三郎さん。
大原さんはひとつ年下の画家、児島虎次郎をいたく気に入り、経済的に援助しますが、それだけではなく、
虎次朗の「もっと日本人に本物の西洋絵画を見せたい」という夢を具現化するために、虎次朗に西洋絵画を
ヨーロッパに買い付けに行かせてコレクションを作り上げたという。
大原さんの凄いところは、資産価値を目論んだり、自己満足のために西洋絵画を収集したのではなく、
事業で得た富を社会へ還元することの重要性を認識したところで、この美術館もその一環であったらしい。

閑話休題

ついこの間、スキャンダル戦後美術史 大宮知信・著 平凡社新書を読んだ。
世間を騒がせた美術関係の事件をまとめた新書ですが、
その本に、バブル時代、海外のオークションで有名画家の作品を投資目的で、べらぼうな値段で落札し、
バブル崩壊後、経営難からその作品を二足三文で海外のコレクターに売ってしまった企業の話や、
金に糸目をつけずに、悪徳画廊から芸術的価値のない油絵を購入したバカな人の話や、
「何でも良いから高い値段の絵を買ってこい」と言った政治家の話が載っていました。
まあ、読んでいてその強欲さにアホらしくなる人達ですが、大原孫三郎さんの爪の垢を煎じて飲んでいれば、
このような無駄遣いをしなくて良かったのにねー、と思った次第です。
要は教養と社会性の無さ

話もどって、大原美術館

その大原さんのコレクションを美術館で展示しているだけかと思いきや、関連事業として
若手作家を育てるために個展を開かせる援助をしたり、有隣荘という大原家の別邸で
現代美術作家を招いた展覧会をし、一般公開したりと、この地域の芸術文化の活性化に
取り組んでいるようで、明治時代の華やかな昔話ではなく、脈々とこの実業家の精神は生き続けていました。

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