2013.09.14 彼の提案
先週の話の続き・・・・
「モバイルハウス 三万円で家をつくる」を読み終えると同時に、アマゾンから
そのドキュメンタリーを収録したDVD「モバイルハウスのつくりかた」が届いた。

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動画をプリントスクリーンで編集

まあ、なんとも痛快である。
多摩川の河川敷で暮らす「ロビンソン・クルーソー」に叱咤激励、指導を仰ぎながら、著者・坂口恭平が
本当に楽しそうに、手作りキャンピングカーとも言える二畳一間の「住まい」を作り上げた。
それじゃー、キャンピングカーを買えば良いじゃない、と言ってしまえば、事の本質に一歩も近づけない。
この「住まい」は、金で解決してしまおうとする現代社会に一石を投じるプロジェクトのプロトタイプだ。

右下の画像は、完成したモバイルハウスを東京吉祥寺に借りた駐車場に設置した画像であるが、
著者は、訪ねてきた知り合いに「インフラはどうなっているの?」と訊かれて、トイレはコンビニ、水は公園、
お風呂と洗濯は銭湯とコインランドリー、全部近くにあるよ、電気はソーラーパネルで自家発電してるから、
電灯とパソコンだけならこれで十分・・・・と説明していた。
永住するには無理があるがなかなかの試みじゃないか、都市生活者にはぴったりの住まいだ。
この著者の試みを知って「住まう」ということに色々な思いを巡らした。

そのひとつが、我々は本当に自活力がなくなっているんだなー、ということ。
すべてのインフラを他人に頼って生きている。もし、それが供給されなくなったり、
利用できなくなったらたぶん、私達はたちまち路頭に迷い、今の「家」に住むことができないだろう。
例えば、電化された「家」は電力会社から電気が無事に供給されることでしか成り立たない。
もし、頻繁に停電するような頼りない供給の状態でオール電化を考えるだろうか?
原子力発電の絶対的な安全性が崩壊したにもかかわらず、それに廃棄物処理もできないにもかかわらず、
平気で原子力発電の再起動を目論んでいる電力会社やそれを容認しようとする勢力に対して、
「原子力はもう、いいんじゃないの?」と思っていても、「No」と声を大にして言えないのは、
私達が電力会社という他人に頼って生きているからだ。
このモバイルハウスは、「電力なんて最低限のものならタダでまかなうことができるよ」って言ってくれている。

もう一つが、人は「浮浪」していいんだ、ということ。
「土地」は誰のものか?と著者は我々に問う。
日本国憲法の第二十五条 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」を
引き合いに出し、投資目的の売買で高騰した土地に建てられたマンションや一戸建てに、
一生働いて返すことで手に入れることしかできない「住まい」のあり方に対する疑問。
彼の提案は、土地を独り占めにはしない考え方だ。土地にしがみつくと、大地が揺れるだけですべて
失ってしまう可能性だってある。いや、実際にこの国がそうだ。土地を持たないという生き方の楽さ。
「浮浪」と言ってもこの社会からはみ出すことじゃない。「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を
有しながら自由に住まう生き方。このモバイルハウスは、そのツールとしては最高のアイテムだ。

彼の提案は現実からはほど遠い考えだろう。
実際にしがらみがまとわりついた身からの視点では、単なる理想主義の実験でしかない。
しかし、やたらと「経済」や「簡便」や「清潔」を追求し、それが「幸せ」だと思い込み、
実はその「幸せ」も他人任せで自立心が失せてしまった我々に「あ、こういう幸せもあるな」と
思わせてくれる。それだけでもこの提案はとても大切な提案であるように思われる。

それにこのDVD、セルフビルドの「誰でもできる超簡単小屋づくり」のハウツーとしても参考になる。
ワタクシ、許されれば作ってみたい(作れる自信はあるが、使いこなす自信はない)

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