2014.04.26 現実ではない現実
大阪・国立国際美術館で開催されているアンドレアス・グルスキー展をようやく見に行ってきた。
去年の夏、新国立美術館で開催されていたのを、出張がてら行こうと思ったのに見そびれ、
大阪での巡回展は必ず行くぞ、と心に決めていたのに、春先の忙しさで行けずじまいだったからだ。
・・・と、個人的な理由はさておき、アンドレアス・グルスキーである。
外人さんの写真家といえば私にとってはドイツ人のヴォルフガング・ティルマンスなのですが、
アンドレアス・グルスキーも同じドイツ人、還暦まじかの59歳。「ライン川 II(RehinⅡ)」という写真が
430万ドル(約4億3000万円)で落札され、地球上に存在する写真の中で史上最高額の値段が
付けられた、という情報もあり、名実ともに現代写真家のトップに立つ人物(なのであろう)
噂にたがわず、凄い!
さすが、億の金を出すだけの価値がある。(かもしれない)
一枚の馬鹿でかい写真に、ミクロとマクロ、虚実入り乱れた情報が詰め込まれた作品は、
絵画的でもあり、ドキュメンタリー的でもあり、装飾的でもあり、それを見る私を混乱させる。
絵画的と言えば【ツールド・フランス】という作品は、タイトル通り、自転車レース、ツールド・フランの
一場面を俯瞰的に撮影した作品ですが、それを見ていると、遠近感のない風景が、狩野永徳の
【洛中洛外図屏風】を思い起こしたし、F1レースの【F1 ピットストップⅣ】というピットシーンの場面は
ミケランジェロの【アテネの学童】を思い出した。

kanou001.jpg gakudou001.jpg

それと、先に「ドキュメンタリー的」と書いたのは、本当にドキュメントなのか?と疑うほど、群衆を
撮影した場面が不思議でたまらなかった。それは人物の動きがほとんど「止まっている」からだ。
写真を少しでもかじっている人ならわかることですが、暗いシーンを被写界深度を深くしてすべてに
ピントをあわそうと撮影すると、シャッタースピードが遅くなって、動いている人はブレてしまう。
それも縦横数メートルもある大画面にプリントするわけだから、大型のカメラを使っているはず、余計に条件は悪い。
それが、ほとんどの人物が顔の表情が解るほど「止まっている」。
【シカゴ商品取引所Ⅲ】なんて作品は、暗い室内に何百人と人物が写っているのに、
ブレている人物はほんの一部。これは常識的には考えられないことだ。
だから、このような作品がドキュメントなのか、それともそれをベースにした架空の情景なのか、
それは私にはわからない。そして、それがわかったとしても大して意味のない圧倒的な作品だ。

img197.jpg
横幅2.5mぐらいの大画面の一部。実際はもっと大きい。
さて、家に飾るならと、いつもの妄想・・・・これかな?

andorea001.jpg
【パリ・モンパルナス】1993

それより、会場終盤に飾られていた、幅2メートル、高さ1メートルほどある作品・・・
どこかで見たことのある、雪で覆われた白い島を真上から捉えた作品・・・・
「島」なんかじゃなくって「南極」じゃね? タイトル見るとやっぱり【南極】
実際に何万メートル上空から自分で撮ったのか?それともNASAからデータを拝借したのか?
いやいや、グーグルアースか????? その精細感は半端なく、もう、何がなんだかわかんない・・・
もう一度書こう、アンドレアス・グルスキーの作品はミクロ的にマクロを表現し、現実を非現実に置き換え、
嘘も本当もないまぜにして提示し、見る者を現実世界からちょっとずれたもう一つの現実世界に誘ってくれる、
そんな不思議な「写真世界」だ。

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