2015.01.29 モボの時代のカッコよさ
ご当地情報です。
今、和歌山県立美術館でやっている 『月映』 田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎—木版にいのちを刻んだ青春
っていう企画展、なかなか良いです。
『月映』というのは「つきばえ」とか「つくばえ」って読んじゃだめですよ。「つくはえ」
これ、大正時代に作られた同人誌の名前です。(アタクシ、恥ずかしながら、つい最近まで「つくばえ」と読んでいた。)
この同人誌、少し説明すると、大正のはじめ、画学生だった田中恭吉・藤森静雄・恩地孝四郎という若者達が、
木版画で制作した心象風景と詩を組み合わせた作品集です。志半ばの23歳で夭折した田中恭吉が和歌山市ゆか
りの画家で、今回の企画展は、美術館のHPから概要を転載すると・・・・

この展覧会は『月映』が刊行されて100年となるのを記念し、和歌山県立近代美術館の所蔵品を中心に全国から
作品を集め、約330点によりその全貌をご紹介するものです。1915(大正4)年11月の第7号まで約200部ずつ刊行
された公刊『月映』から全点を展示するのはもちろん、出版するのとは別に3人だけが持ち合い、現在では1部しか
残されていない貴重な私家版も紹介します。また竹久夢二との交流を示す作品があるほか、『月映』を見た萩原
朔太郎が装幀を田中と恩地に依頼し誕生した詩集『月に吠える』の挿画となった作品も、現存する恩地孝四郎
旧蔵品と萩原朔太郎旧蔵品が今回初めて一緒に並びます。100年前の若者たちの奇跡のような出会いを、ぜひ
ご覧ください。・・・・ということです。

はっきり言ってカッコイイ。作品もカッコイイけれど、同じ目的を持った若者の一途な関係がカッコイイ。
それは、月映が刊行されるまでの、書簡での交流を見ればわかる。すごく純粋。ツイッターもラインも
ない時代だから、手紙や葉書で。今で言うスタンプもペンで描いた直筆。きっと本人たちが生きていたら、
恥ずかしいから展示しないでくれ、と言うだろうな。でも、ベタな言い方だけれど「心」が見える。
画学生だから絵は上手いんだけれど、(17歳の田中恭吉がインクペンで描いたスケッチ《春雨・路地》なんて
もうすでに描写力が完成されていて脱帽)直筆の文字とイラストの痕跡がリアリティを感じるなー。
でも、こんなところで道草くっちゃーいけない。月映だ。
もう、まったくのモダンアート。木版画初心者で始めた彼らは、彫りのテクニックはない。だから、細部の彫りが
必然的に簡略化され、形が抽象化され、それに加えて彫り後が生々しく残っている。若者特有の、内省的な
テーマで必然的抽象表現。だから、ロマンチックなモダンアート。同郷の田中恭吉には申し訳ないが、一番
センスがあってカッコイイと思ったのが藤森静雄の作品群。

fujimori shigeo

観終わって感じたのが、概要にも記載されているように7号まで発行されたものの、各刊200部。実に少ない。
これ、今復刻したらどうだろう?ぜひ、いろんな人に見てもらいたいな、とそんな気持ちになった。
見ごたえのある画集になると思うし、今の時代だからこそ、あの時代の若者の息吹を、現代の若者に感じてもら
いたい、と思うのだが・・・・。
そうだ!買い忘れた図録を買って、スキャナーで原寸大にコピーして、和紙にプリントして製本しようかしらん。
装丁に使っている布ってどんなだったかな?あんまりはっきり覚えてないから、もう一度見に行こう。
「月映」復刻私家版・・・・うん?著作権に抵触するのか?
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