2015.03.06 白という色について
『鈴木理策写真展 意識の流れ Risaku Suzuki - Stream of consciousness』の図録が届いた。
堂々の226ページの写真図録と、解説や氏へのインタビュー、なかなか見ごたえがある。

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図録表紙一部をスキャン

「Wite」という雪景色を撮影した連作が良い。
公式のウェブサイトでもダイジェストで見られるが、組み写真として横並びに掲載された
作品を見ていると、雪景色なのに決して冷たくはなく、温かく静かな写真だ。
なんてない写真だ。ただ、淡々と目の前に広がる雪の「白」を追っているだけだ。
中にはほとんど雪だけの写真もある。表面上は「白い」から、ほとんど色のついていない
印画紙の色そのままなのだろうか?実際のプリントを見てみたい。
「白」という色は不思議な色だ。何もかもから最も遠く、人の意識を拒絶するが、無意識には包容力がある。
例えば、白い紙に何か描こうとする(文字でも図像でも)。その白い紙に一筆置くときに、人は大きな
緊張感を強いられる。白い色に「汚すなよ」と言われているように・・・。
それが、描くという意識がない(落書きのような)行為には寛容で、人は自由になれる。
例えば、白装束はどうだろう?武士が切腹するとき、他者を寄せ付けない高貴な衣装。
例えば、太陽。人はその下で光の恩恵を無意識に受けているが、太陽そのものを見ようとすると、拒絶される。
雪は「白い」けれど、決して人を拒絶する「白」ではない。陰影によって、わずかながらも人の意識を
受け付ける甘さがある、優しさがある。氏は雪の白さの中に、そんなことを見つけたんじゃないだろうか?
とても繊細な観察力と、カメラレンズの特性を生かしたボケ味の効果で、この連作を見るアタクシの
脳みそのコリをほぐしてくれる連作「Wite」はそんな作品群だ。

氏の直近の作品は、どんどんヨーロッパ近代絵画に近づいている。セザンヌのセントヴィクトワール山の
連作や、モネの睡蓮にリスペクトされた作品、クールベの海景にも近づいている。どんどん時間が
逆回転し、どこまでさかのぼるのだろう。
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