2015.12.10 モランディの魅力
東日本大震災で中止を余儀なくされた「ジョルジョ・モランディ展」が兵庫県立美術館に帰ってきた。
この画家の事は2度ほどこのブログでも紹介したが、回顧展としては十分な規模の展覧会だ。

いやー、良かったよ。
地味だけれど、この画家の魅力を再確認した一日だった。「地味」と書いてしまったが、見に
行く前に「同じような作品ばかり並んでいて退屈するんじゃないかなー」と想像したからだ。
モランディは画家としての半生をほとんど小さな画面の「静物画」ばかり描き、それもほとんど
同じモチーフの組み合わせだけで貫いたから、印刷物で作品を見ていてもどうも退屈なのだ。
しかし、生の作品を見ているとまったく飽きない。見れば見るほど、どの作品も魅力的だ。
美しい中間色の色味や、筆につけた油絵の具の濡れ具合がわかる筆致や、物の形を最小限に
説明している正確なトーンが、するめをかじっていると出てくる時の「うま味」のように、その良さが
見ている眼球から脳にじわじわと伝わってくる。

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静物 1964年 ポストカードをスキャン

それにどうだろう、なんともすっきり、きっちりした構成。
画像はアタクシが一番気に入った作品であるが、よく見てほしい。
壁と机の境界線と左側の4つの直方体(なんだろう?)が合わさった境界線、それに花瓶の銅と口の
境のくぼんだ位置が、一直線に連なっている。それに、引き気味に見ている視点からくる余白。
しかし、ただ単に見て描いただけではない。花瓶は口の部分が少し左に傾いでいる。壁と机の線も
ほんの少し左下がりだ。そして、ほとんど壁の色に溶け込んでいる、左奥にある直方体の上面の
色のように、ギリギリ色数を抑えた全体の色調。それらすべてが合わさって、画面を構成している。
見ていて思い出した・・・・「何もたさない、何もひかない」。昔流行った高級ウイスキーのキャッチコピーだ。
そう、モランディの作品には「スキ」がない。そこからくる安心感、安堵、静寂、落ち着き・・・・
もし、あなたが、疲れた心を癒したいなら、モランディの作品を眺めるがいい。
アートセラピスト、それがジョルジョ・モランディ・・・・・
もう一つ紹介したい・・・・究極のすっきり、きっちり・・・・それはスケッチ
もう、必要最小限の表現は、抽象に限りなく近づいていく。

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