2016.05.05 ゴールデンウィークの京都で高級なものを見た
ゴールデンウィークの京都は観光客であふれかえっている。
どこへ行っても、人の塊が右往左往していて、それはもうてんやわんやの大騒ぎである。そして、芸術も
負けてはいない。岡崎公園にある京都市美術館では、ここぞとばかりに様々な展覧会が開かれ、モネ、
ルノアールの印象派のスーパースター二人の展覧会、それに二科(関西)展、京都墨彩画壇展、
新創美術展、別館では京都国際写真祭(KYOTO GRAPHIE)と、これ全部観たらへとへとになって倒れる
だろうなー、と思うぐらいの物量作戦で、「まっ、たまには芸術鑑賞も良いよね」と考える観光客目当ての
怒涛の展覧会ラッシュだ。
しかし、そんなことするとアタクシは倒れてしまうので、京都市美術館は完全にパスし、その近くにある
細見美術館という私立美術館で開かれている「杉本博司 趣味と芸術—味占郷」展と、京都国立近代
美術館の「オーダーメイド:それぞれの展覧会」という、二つの展覧会をゆっくりと観てきた。
(主目的はみやこめっせ(京都市勧業館)で開かれている、春の古書大即売会に行くことなんだけどね)

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細見美術館とは実業家・細見良氏から三代にわたって細見家が蒐集した縄文・弥生時代の古代から
江戸時代、明治大正の近代までの日本美術・工芸を幅広く蒐集したものを展示している小さな美術館。
存在は知っていて、外観もおしゃれだから建築物としては興味を持っていたのですが、なんせ蒐集品が
渋すぎて、入ってみようという気持ちにはなれなかったのが、わが師匠(勝手に)であるところの杉本博司
の展覧会であるからには無視はできまいと、はせ参じたわけです。そしてその展示内容は・・・・
『婦人画報』で連載された「謎の割烹 味占郷」の中で、杉本氏が各界の著名人をもてなすために、氏の
骨董趣味で集めた品々を組み合わせ、毎回そのゲストにふさわしい掛軸と置物を選んで床飾りをしたも
のを再現したものです。

いやー、おしゃれ、かっこいい、粋。・・・それに渋い!渋すぎ・・・・・
床の間に掛け軸と置物なんて、大衆にはなかなか縁のない芸術ですし、その空間に置かれた品々が、
ある意味(寓意)を持って置かれていることを読める文化的知識もないもんですから、恥ずかしい話です
が、見た目の雰囲気が良い、たたずまいが良い。
例えば、 「真摯なる領域」と題された作品は、軸に鎌倉時代に描かれた明恵上人像、一幅と、置物に
鎌倉時代に木造彩色で作られた春日若宮御正体(神鹿の像)に、現代作家・須田悦弘が角と鞍と榊を
木彫彩色でしつらえ、その榊の上に鎌倉時代に作られた、小さな円形の板地に描かれた五髻文殊菩薩像
を置いた「オブジェ」ともいえるモノを組み合わせた作品。(こんなこと書いたってイメージわかないよね)
(http://www.emuseum.or.jp/exhibition/ex047/img/artworks07.jpg)を見てくれ。

ただ単に貴重な骨董品を組み合わせた床飾りなら、それほど興味を持ってみることができなかっただろう。
たぶん、「ふーん、なんか高級ね」で終わるところを、現代作家・須田悦弘の作品を紛れ込ませた例のように
近現代の品も平気で組み合わせたり、軸の装丁に念が入っているし、置物の下の台座のディティールが
面白かったり、さすが杉本博司。すべての組み合わせが、子細に行き届いていて静かに驚かされる。

これを「高級」というのだろう。こういう趣味の床飾りを愛でることのできる人たちを「セレブ」と呼ぶのだろう。
大衆であるアタクシは、この高級感あふれる床飾りを、展覧会という場で鑑賞し十分満足した。そして、この
ような床飾りを、本来の場で愛でることは死ぬまでないだろうと、大衆であるアタクシは少し卑屈になった。

追記
掲載した画像は会場3階にある茶室「古香庵」に特別公開されている杉本作品「華厳滝図」「月下紅白梅図」
両方見られるのは、会期内の祝祭日のみ。(エントランスフリー・会期は6月19日(日)まで)

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